Birdlandこぼれ話② マーニー

これ、随分前に下書きに入れっぱなしだったので時間立ってるけど上げちゃいます。



ずっとマーニーって存在が不思議だった。
何で「そういうこと」になると分かってポールの部屋に行ったのかとか、何でそんなに「ジョニーに言わないで、言えるはずない」と秘密にこだわるのかとか、果てには自らの命を断ってしまったのかとか。

けど、久しぶりにYouTubeでBirdlandの映像を見ているうちに、ぼんやりと、

マーニーは元々ポール狙いでジョニーに近付いたのかなと感じた。同様のことは過去にもあっただろう。そして、ジョニーを踏み台にしてポールに近付くような女性は、ポールへの憧れや恋心なんていう可愛いものではなく、彼の持つ富や名声のためという人が多かったんじゃないかな。だからポールはジョニーがマーニーへの愛を語ることをなんとも言えない気持ちで聞いていたのではないかと感じた。

だからカフェ・プーキシンでマーニーに会いに行ったときはマーニーの真意を探るつもりだったし、色んな方面に適当な言葉を並べながらアナリサも連れて行ったんじゃないかな。
で、酔いつぶれてピエロになってアナリサにお金のためにジョニーにキスできるかという話題を振った。
夫がいたり、ポールに媚びることなく自分の考えを伝える芯の強さを持ち、不快感を隠そうともしないアナリサに反して、マーニーは自分の恋人が悪趣味な遊びの引き合いに出されているにも関わらず、にこにことしており嫉妬したり憤る様子を見せない。
ポールはそれに気付き、ジョニーに「マーニーは楽しそうだ」と言うも、ジョニーは気付いているのか気付いていないのかといった態度。
そうなると、おそらく、ポールがマーニーを自分の部屋に誘ったのはその最後の確認のつもりだったんだと思う。

私は恋愛体質じゃないし、その辺のセンスが欠落してるから、マーニーの言った
「あなたの顔、素敵だった」
から始まるピロートークにぎょっとしたんだけど、世の恋愛体質の女性ってみんなこんなもん?
まあ、でもそうか。好きでもない人といちゃいちゃして、とうとう本来の目的の人と関係持ったらそうなるんかな?
でも、その後自らジョニーの話題を出すっていうのは個人的には罪悪感よりも背徳感を興奮のスパイスにしているような印象もあるんよね。秘密の関係を楽しむ、もしかしたらトップスター2人と関係を持ってるという優越感。
そう考えると、ポールがジョニーに真実を話すと言ったのは意趣返しのつもりか、自分たちから離れろというつもりだったのかな?
でもマーニーはジョニーにバラされちゃうとこの生活も終わっちゃう、それは嫌だってなったのかな?

マーニー、飛び降りちゃったけど。

これは、外国の映画とか見てて感じることだけど、外国の一部女性は感情的すぎたり、その感情の振れ幅も0か100みたいな極端なところある気がする。うわー、ヒステリックだなと思う反面、感情を素直に出せて羨ましい、かわいいといった思いもある。
あと日本の若い子でもそうなんだけど、本来「死」って、身近なものでありながらも、生きることとは対極の部分で、究極のところにあるはずのものなのに、言葉が強烈で分かりやすいからこそ簡単に口にしちゃうのかなって思う。
それこそ「死ね」という言葉は相手の尊厳を傷つけるためのものから軽口としてまで幅広く使われているし、「恥ずかしい」=「死にたい」、「萌え」=「死にたい」、「怒られて気分が落ち込んでる」=「死にたい」、「寂しい」=「死にたい」などと濫用されてる感じがある。
何が言いたいかというと、さっきの感情的、感情の振れ幅が極端ってことと、死という言葉の身近さが、マーニーをあんな思い切った行動に移させちゃったのかなって。マーニー、何ていうかその、頭軽そうだしね。

でもやっぱりマーニーって、ポールにとって特別なんよね。
パリではマーニーの両親に会いに行くし、ジェニーにはマーニーと名乗らせるし。
そして最後の死に際?でもマーニーの幻みたいなものと会話する。

マーニーの死後、ポールの破滅的な生き方が一気に加速したけど、ドラッグとかの表面的なインパクトに惑わされて、あれ全部マーニーに対する罪悪感の表れだったりしたのかな?
それか最後のマーニーの幻みたいなの、ずっとポールにだけ見えてたとか?

そういうの踏まえてもう一回見たい作品だと思いました。
映像が残ってないのが悔やまれる…。